ONE HUNDREDTH

中国、小売、マーケティング、ファッションなどなど

中国でモバイル決済が普及した ”本当” の理由

1. 注目が集まる中国のモバイル決済

様々なメディアで取り上げられているように、中国の都市部では急速にモバイル決済が普及し、キャッシュレス社会になっている。そう、Alipay(支付宝)とWeChatペイメント(微信支付→WeChatの決済プラットフォームのことを「財付通(Tenpay)」と呼ぶ)のことである。自分も上海に来て銀行口座を開設し、Alipay・WeChatペイメントが使えるようになってからは、極端に現金を使うことが少なくなった。スマホと交通カード、この2つさえ持っていれば本当に財布なしで生活できる。むしろ店によっては現金で支払おうとすると嫌がられたり、或いは、現金自体受け付けていない店もあるレベルだ。

このモバイル決済が中国でこれだけ普及した理由について、最近立て続けに日本のメディアが言及している。しかし、いずれも的外れな内容なので(と思う)、今回はこの理由に対する自分の考えをまとめてみたい。まずは、2つのメディアの内容を確認する。

ダイヤモンドオンライン

Alipayが日本に進出するニュースに合わせて、中国でモバイル決済が広がった理由、日本でAlipayが普及するかをテーマにしている。 記事の大まなか内容は、モバイル決済は当初トラブルが続出、安全性が課題になっているが、中国ではそれ以前に偽札が出回っていることが大きな問題だった。多くの人が「現金が一番安全」と考えていて、AlipayやWeChatペイメントで使われているQRコードより更にセキュリティレベルが高いNFCを使ったモバイル決済も広がらない日本で果たして広がるのか?というものである。

つまり、中国でモバイル決済が広がった一番の理由は、ニセ札が横行していた為としている。

WEDGE Infinity

上記ダイヤモンドオンラインの記事に対するカウンターとして出されたのが、この記事だ。

この記事では、Alipayを運営するアントフィナンシャルの担当者のコメントに被せて筆者の主張がされており、大きく3つを要因に挙げている。

  1. 中国ではパソコンの時代を飛び越えて一気にスマホの時代が到来し(=リープフロッグ現象)、それと時を同じくしてモバイル決済も始まったのでタイミングが良かった。
  2. 莫大なマーケティング費用が投下された
  3. 決済手数料が安い

話は少し逸れるが、この記事の中で触れられている下記コメントも非常に気になる。

我々外国人旅行者にとってもっとも印象的なのは鉄道切符の購入ではないか。かつては鉄道切符を買うのにも半日がかりだった中国だが、今では数分間、スマホを操作するだけで予約から決済まで終了してしまう。

外国人・旅行者は中国産のサービスを享受し辛いというのが私の考えだが、この件についてはまた別の機会でまとめてみたい。

 

2. ニセ札もスマホ普及も "背景" にすぎない

まずはじめに申し上げておくが、ダイヤモンドオンラインの記事も、WEDGE Infinityの記事も間違いだとは思わない。ニセ札問題も、一気にスマホの時代がやってきたことも要因の一つだろう。但し、それらはあくまでも中国でモバイル決済が広がった「背景」であって、主たる要因ではない。

莫大なマーケティング予算が投下されたことも同じだ。もし今、日本でモバイル決済を手がける会社がAlipayやWeChatレベルのマーケティング予算(いくら掛けたのか知らないが)を掛けたら、日本でもモバイル決済が中国並みに普及するだろうか?私には到底そのように思えない。これもあくまで間接的な要因に過ぎない。

決済手数料が安いことは間違いない。では、なぜ彼らはそのような手数料が実現できたのか?そこを考える必要がある。

ちなみに、私が考える「背景」を付け加えるなら、Alipay・WeChatが抱えていた大量のユーザー数を挙げる。

モバイル決済が本格的に広まり出したのは2014年頃からであるが、Alipayはもともと中国で圧倒的な規模を誇るアリババのECサイト、C2Cの淘宝(タオバオ)、B2Cの天猫(Tmall)を運用しており、更にそこでオンライン決済サービスを提供していた。Alipayが生まれたのは2004年であるが、そこから2015年時点でのAlipayの"アクティブユーザー"は2.7億人強ということである。

一方、中国版LINEとされ、今や中国のスマホの94%をカバーするメッセンジャーサービスのWeChatも、2014年時点で既に4億人強のユーザーを抱えていた。また、運営元のテンセントは、2005年からオンライン決済サービス「財付通(Tenpay)」をスタートさせており、2013年時点で利用者は2億人、Alipayに次ぐオンライン決済サービスになっていたのである。

両者ともにオフラインのモバイル決済をスタートさせる以前から、大量に未来の顧客を抱えていたという事である。しかし、これも私はモバイル決済が広がった「背景」に過ぎないと考える。

※ここで言う「オンライン決済」とは主に EC(electronic commerce)上での決済、「オフライン決済(≒モバイル決済)」はリアル店舗での決済のことを指している。

 

3. 鍵になったのは「清算機能」と「市場開放」

銀行と直接繋がることによって出来た清算機能

中国における伝統的な決済モデルは、カード所有者(ユーザー)、小売店、カード発行機関、加盟店管理をおこなうアクワイアラーの4者で構成されていた。カード所有者が小売店で支払いした後、カード発行機関とアクワイアラーの間の清算は銀聯などを通じておこなわれていた。

しかし、ECの出現&拡大と共にオンライン決済に対する需要が高まる。そこに登場したのが、AlipayやWeChat(財付通)などの「第三者決済組織」である。

第三者決済とは、一定の実績と信用を持つ第三者の独立機構が国内外の大型銀行と契約して提供する取引支援サービスをいう。この方法を通してなされる取引では、購入側が商品を選んだ後、第三者のプラットホームが提供している口座に代金を振り込み、第三者によって販売側に振込み完了の通知がなされ、その後商品発送となる。そして購入側が商品を受け取り、問題がないことを確認した後に、第三者にその旨を通知し、第三者は販売側に代金を振り込む。

http://j.people.com.cn/94476/100561/100569/7438414.html

AlipayやWeChat(財付通)などの第三者決済機関は、複数の銀行で口座を開設し、直接銀行と接続するによって、これまでの銀聯などの清算機関を経由せずにユーザー・小売店への支払いと清算の両方をおこなう新たな3者決済体系を構築した

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出典:BTMU(China)経済週報「中国決済市場の発展動向について」https://reports.btmuc.com/File/pdf_file/info001/info001_20151217_001.pdf

オフライン決済におけるアクワイアリング業務の解放

当初、第三者決済機関のフィールドはオンライン上のみで、オフライン(リアル)の決済は規制されていた。オフラインの世界は銀聯に独占されていたのである。

2002年に中国の銀行カード産業の発展を目的として設立された金融企業「銀聯」は、オフラインの店舗に銀聯マークの付いた銀行カードが使えるように、POS連動可能なカード読取機を貸し出し、加盟店の開拓をおこなってきた。これはこれで、銀聯のオフライン決済市場における役割は非常に大きかった訳だが…。

しかし、2013年7月、人民銀行(=中国の中央銀行)は「銀行カード収単(アクワイアリング)業務管理弁法」を公布して、第三者決済機関の "オフライン清算市場" への参入を緩和した。AlipayやWeChatが銀聯に対抗することが可能になったのである。これが決め手になった。

これがなければ、そもそもAlipayやWeChatがオフラインの決済市場に進出することはできなかった。2014年からモバイル決済が急速に広まったのは、このことに起因しており、その後、彼らは配車、紅包(お年玉)、デリバリー、コンビニなど様々なオフライン決済の消費場面に進出して行った。

これのなにがすごいのか?

人によっては、これの何がすごいの?と思われるかもしれない。しかし、これには日本のモバイル決済との決定的な違いがある。

「モバイル決済」と言っても日本には様々な種類があるが、楽天payにせよ、Origami payにせよ、ドコモのおサイフケータイをルーツとしたiDにせよ、既存の電子マネーiPhoneに集約させる事ができるApple Payにせよ、基本的に日本のモバイル決済はクレジットカードのプラットフォーム上で成立している。彼らが担っているのはオフラインの世界における「支払い」機能のみであり、あとの「清算」は全てクレジットカードの仕組みで稼働している(※)。アップルが日本の各銀行と接続して、直接清算業務をおこなう事はできない(ない)。

プリペイド型のSuicananaco等は現金でもチャージが可能。同じくプリペイド型のLINE Payは、各銀行からの直接チャージが可能。 

クレジットカードの世界には、ご存知のようにVISAやMasterCardのような「国際ブランド」、カードを発行する「イシュアー」、 加盟店開拓・管理をおこなう「アクワイアラー」がおり、さらにはCAFISに代表される決済システムを提供する会社などが存在している。プレイヤーが多いということは、当然、各社が収益をあげられるように手数料・利用料金は高くなるということである。日本のモバイル決済は、清算機能をクレジットカードに託さざるを得ないことに限界がある。

一方で中国のモバイル決済の場合は、清算機能を銀聯から奪い取り、支払いと清算を同じ会社で運用する(できた)ことによって、モバイル決済の壁を壊すことができた。(※下記イメージ図を参照)

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4. その結果、実現できたこと

市場開放に伴い、清算機能まで持ったAlipay・WeChatをはじめとする第三者決済機関がオフラインのモバイル決済に進出したことによって、何がもたらされたのか?

まず、Alipay・WeChatペイメントの使い方を確認しておくと、①銀行カードとアプリを紐付け、登録したカードの口座から即座に引き落とすか、②プリペイドカードのようにアプリ内に事前にチャージ(友人から受け取る or 自分の銀行口座から移す)した金額から支払う、この2通りがある。

送受金機能 

前述の通り、Alipay・WeChat ともに銀行と直接繋がっているので、Alipay・WeChatを介して、自由に自分の銀行口座のお金の出し入れができる。実際使ってみて一番便利だなと感じるのが、お金の「送受金機能」だ。

例えば、中国の飲食店では、日本のランチのようにグループで一緒に食事に行っても、一人一人個別清算はしてくれない。代表者が全員の金額をまとめて支払うことになる。立て替えてもらった人は代表者にお金を返す必要があるが、小銭がない。代表者もお釣りがない。そんな時、Alipay・WeChatなら即座に釣り銭の要らない丁度のお金を代表者に送ることができる。Alipay・WeChatに紐付けた自分の銀行口座から送金することも出来るし、チャージしておいた金額から送金することも出来る。

反対にお金を受け取った側も、Alipay・WeChatで受け取ったお金をすぐに現金化することが可能である。受け取ったお金は受取者のAlipay・WeChat上の仮想口座に保有していることになるので、これを受取者が紐付けている自分の銀行口座に「引き出し」を選択すると、即座にそのお金を銀行口座に移すことができる。

まぁ現実社会では、現金を使うことが極端に減っているので、都度自分の銀行口座に移さなくても、次に自分が支払いをする際にAlipay・WeChat上の仮想口座から支払えば済む話である。

格安の料金

日本の銀行で送金・振り込みをしようと思えば、同じ銀行であっても108円、他行に時間外に振り込もうなら数百円取られることはザラである。これが、Alipay・WeChatならほぼ無料で出来る。

最近になって、Alipayは2016年10月から累計2万元まで無料、それより超えて「引き出す」場合は0.1%のサービス料を徴収、WeChatも「引き出す」場合には手数料が掛かるようになったが、送金自体はほぼ無料であることには変わりない。

なぜこんな金額で送受金が出来るのかと言えば、前述の銀行と直接繋がった清算ネットワークに他ならない。Alipay・WeChatと銀行の間に他のプレイヤーがいないので、コストを最小限に抑えられているのである。さらに彼らは、ユーザーがAlipay・WeChat上にプールしているお金を銀行に預けることで、そこから得られる利息を主要な収益源にもしている。2016年にはその預け入れられている資金が5,000億元を越えたという報道もあり、別の問題にもなっている(※後述)。また、何億人というユーザーが何にいくら使ったという購買データ、送受金という時にSNS以上に強いユーザー同士のつながり情報など、彼らの多様なビジネスに生かせるマーケティングデータ(BIG DATA)を獲得できるという側面も挙げられるだろう。

加盟店にとってのメリット

上記2つはいずれもユーザー視点でのメリットを挙げたが、これはAlipay・WeChat決済を受け入れる側の加盟店・小売店にとっても同じメリットを享受できる。

モバイル決済の受け入れ方には小売店のPOSと連動させる方法、専用端末でユーザーのQRコードを読む方法などいくつかあるが、最も手軽なのは、小売店のAlipay・WeChat上の仮想口座のQRコードをPOPで貼っておく方法である。

中国の小売店や飲食店に行くと、よく下記画像のようなQRコードを目にする。これらはその店のAlipay・WeChat上の仮想口座を表している。使い方は、ユーザーがこのQRコードを自分のAlipay・WeChatで読み取り、支払う金額を自分で入力、受取人である小売店へ送金する。そう、先ほどのC2Cの送受金機能がそのままB2Cに活用されているのである。

ちなみに、路上で商売しているような屋台だともっと酷い。QRコードすら貼っていない。その場合は、屋台の店主とその場で友達になって送金するという日本人には信じられない流れとなる

※2017年9月3日20時30分訂正 店主と友達にならなくても送金可能だそうです。失礼しました。

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出典:FeliCaよりお手軽? QRコード決済の実態を中国・深センに学ぶ:モバイル決済最前線 - Engadget 日本版

加えて、小売店側の負担費用も劇的に安いWEDGE Infinityの記事にあるように、ユーザースキャン型だと手数料は無料、以外でも平均0.6%ということである。日本のクレジットカードだと、大手小売店でも1〜3%と言わている手数料から比べると破格の値段だ。

初期投資も、POS改修をおこなわない最も手軽な方法だと、QRコードが書かれたシールを貼るだけ。日本のモバイル決済のように、読取用の専用リーダーやタブレットを用意する必要はない。ダイヤモンドオンラインの記事が指摘しているように、確かにNFC等を使った決済の方がセキュリティは高いし、安全だろう。しかし、それでは受け入れる小売側の負担が大きくなり、対応できる店舗が限られてくる。技術的には劣り、且つ、使い古された技術のQRコードであっても、モバイル決済を拡大させる為には欠かせない機能だったのだ。

これらの要因によって、大手小売店・飲食店に限らず、無数に存在する零細小売店・飲食店にもAlipay・WeChatの受け入れが広がっていき、中国の都市部ならどこでもモバイル決済が使える環境が整ったのである。

 

5. 今後どうなるのか?

だいぶ長くなってしまったが、最後に懸念事項にも触れておく。

急速に拡大した中国のモバイル決済市場だが、当初市場を解放した人民銀行が再び規制に乗り出す。主な理由としては、①資金の流れが不透明になり金融監督業務が困難、②金融規制の範囲外で顧客の預入資産が運用に回されている、この2点らしい。詳しくは下記サイトを参照いただきたい。

対策として、清算機関「網聯(wǎng lián ワンリエン)」という組織が新たに設立される。網聯は、AlipayやWeChatなどの第三者決済事業者と金融機関の間に入り、それぞれの取引を仲介することを目的にしている。この網聯が間に入ることによって、銀聯を経由しないで直接銀行と接続する3者モデルが廃止されることになる。

AlipayやWeChat側の視点から見ると、良く言えば、個別に金融機関と接続する必要がなくなって網聯のみに接続すれば良い(※主要な金融機関とは既に接続済みだが…)、悪く言えば、プレイヤーが増えることによるコスト増や独占していたデータの開放が懸念される。恐らくAlipayやWeChatの本音は「余計なお世話」ということだろうが、そこは中国。国が言っていることには逆らえないというのが実態だろう。

この網聯だが、AlipayやWeChatも約10%ずつ出資して、主幹者としての立場を保っている(※下記参照)。この網聯の登場によって、中国のモバイル決済が今後どう変化していくのか注目である。

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傘のシェアリングサービス「摩傘」

今回の「シェア」は傘!

日本でもすっかり有名になったシェアバイクに始まり、車、宿泊施設などシェアリングエコノミー花盛りな中国に、今度は「シェア傘」が登場した。 

シェア傘は、少し前にも別の会社がスタートさせていたようだが、その時は、提供した傘が全く戻ってこず、中国人の民度を考えるとシェア傘は無理だろうとネタ的に消費されていた。

そんななか、今回新しくスタートしたサービスの名前は「摩傘(モーサン)」。少なからず前例の失敗を学習した上でサービス提供を開始したようだ。

始まったのは地下鉄2号線の各駅。改札を出たところに、幅2mほどの筐体が設置されており、合計48本の傘が収納されている。

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 使い方

  1. まずは「摩傘」のアプリをダウンロード。※iPhoneだと日本のAppStoreではダウンロード出来ない。中国 or アメリカのAppStoreからダウンロードする必要あり。
  2. 携帯番号を入力してSMSで承認番号を取得。承認番号を登録すればOK。※日本の電話番号では登録できないので、中国の携帯が必須。
  3. デポジット39元(600円強)を WeChat・Alipayのいずれかで支払う。
  4. 氏名・身分証を登録してID登録が完了。※「mobike」など他のサービスなら、外国人はパスポートが身分証になるのだが、このサービスは中国人の身分証IDでないと登録できない… → 中国人しか使えないサービスということ!
  5. 自分のアプリで表示させたQRコードを機械で読み取らせたら傘のロックが外れるので、時間内に傘を取り出して完了。

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今はテスト期間中なのか、24時間以内はタダ、以降は1日2元(30円ほど)、7日以上返却されなければ購入したと見なして、デポジットが取られる仕組み。

その他のシェアリングサービスもそうだが、1元や2元の少額でも、WeChatやAlipay決済があることによってスマホ上で支払いが成立するというのが、中国でシェアリングサービスがこれだけ普及している理由の一つだろう。

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実際使うシーンは少なそうだが、アプリ上ではシェア傘が設置されている駅、そこに何本の傘が残っているかが分かるようになっている。

傘のシステムで識別しているのか?返す場所は決まっているのか?別の傘を返したらどうなるの?壊れた傘だったらどうするの?とか色々気になる。

実際サービスを使うことができないので自ら確認することはできなかったが、恐らく傘自体は完全なアナログ傘だと思われる。自転車の「ofo」もそうだが、「mobike」のようなIOT・デジタルでカバーできないところは量でカバーする中国式のやり方だろう。自転車に比べて単価も安いし、すり替えられたりしても問題なしということだろう。
※「ofo」の自転車は鍵の掛かったただの自転車。全てユーザーのスマホだけで管理している。

 

実際広がるのか?

シェアリングエコノミー花盛りと書いたが、果たして中国でこのサービスは広がるのだろうか?恐らく厳しいのではないかと予想する。

まずはじめに、中国人(上海人?)はそもそも傘というものに対する意識が低い。こちらに来て驚いたが、日本と比べると長い傘を持っている人が異様に少ない。折り畳み傘を使っている人が圧倒的である。上海の天気に一日中雨ということが少ないからか、雨予報の日でも、長い傘を持っている人は少ない。何人かの中国人に聞いたら、『雨がやんだら、長い傘を持ち歩くのは面倒臭いじゃないですか』とのこと。合理的というか、面倒臭がりといういうか…。

であれば、一見このシェア傘は「雨が降った時だけ使える便利なもの」のように思えるが、ただでさえ長い傘を持ちたくない面倒臭がり屋の中国人が、傘を使った後、駅まで返しに来るかという事である。

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雨降り → 駅で傘借りて帰宅 → 自宅 → 翌日晴れ → 傘持って駅で返却

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なかなかこの行動パターンは考え辛い。間違いなく家に置き去りになる気がする。

では、「シェア傘」ではなく、「傘の自動販売機」と捉えたらどうか?デポジットの39元は失うが、それで傘は返さなくて良い。つまり、39元(600円強)で傘が購入できるという事である。

しかし、これにも競合が存在する…(笑)。

中国(上海)の街中には、雨が降り出すと、どこからともなく傘を抱えた売り子のおばちゃんが出現し、地下鉄等の出入口で雨宿りしている人たちに売りつけるのである。そこで売られている傘の価格はだいたい10元・20元。品質は相当悪いが、中国人も使い捨ての感覚で買っているようだ。

おばちゃん達が売っている10元・20元の傘に、39元の「摩傘」の傘が勝てるか?恐らくこのデザイン・品質のものに39元は出さないのではないだろうか。

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まずは2号線からスタートしたが、今後地下鉄各線に広がっていく予定ということなので動向を注視したい。それよりも、まず外国人も使えるようにして欲しいが…。

Amazonの先を行く食品スーパー「盒馬鮮生」

アリババが出資する食品スーパー

Amazonが137億ドル(約1兆5000億円)でホールフーズを買収したことは、小売業界のみならず、世界に大きなインパクトを与えた。

Amazonはこれまでも「Amazon Flesh」や「Prime Pantry」で食品カテゴリーへのチャレンジをおこなってきたが、ホールフーズの買収によって、最も購買頻度の高い食品の取り込みに本腰を入れることは間違いないだろう。

今回のAmazonの動きについては、この方のブログが分かりやすい。

食品ECの取り組みについては、日本でもイトーヨーカドーやイオンをはじめとする流通各社が取り組んでいるが、配送時間は最低でも数時間掛かっている。前述のAmazon Fleshも最短で4時間。配送時間さえ早ければ良いというものではないが、食品ECにとって大きな要素であることは間違いないだろう。当然、商品(配送対象商品も)は最も重要だし、それ以外にも、価格、注文・決済方法、送料など様々な因子がある。

現状、食品ECに関して世界を見渡しても「成功」と呼べるレベルまで達してる企業は、まだどこもないと思う。そんな中、アリババから1.5億ドルの出資を受け、配送時間はなんと30分、食品ECのみならずオムニチャネルに関して先進的な取り組みをおこなっている食品スーパーが上海にある。その名も「盒马鮮生(hémǎxiānshēng)」。
※马は馬の簡体字。カタカナ表記すると「ハーマーシェンシャン」。 

 

オムニチャネルの核となるリアル店舗

盒马鮮生は2016年1月に開設された生鮮食品スーパー。イメージキャラクターはカバ。なぜカバ?と思われるかもしれないが、「盒马」とカバの中国語「河马(hémǎ )」は同じ読み方であり、恐らく、箱を意味する「盒」を当て字にして、名前でECの意味合いを表現しているのだろう。

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これまでに上海で10店舗展開しており、今月、北京にも一号店を出店したとのこと。市内中心部にはなく、住宅街に出店している。

店舗から半径3キロメートルまでは30分以内に届けるとしており、顧客からの注文はアプリで自動的に最寄り店舗が選択されて商品が出荷される。各店舗で配送エリアに重なりが少なく、広範囲に対応できるように立地が選定されている。

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視察に行ったのは、地下鉄13号線武宁路から10分ほどの长宁路沿いの店(地図の1番)。OPENして間もない店舗で、入口では早速キャラクターのカバがお出迎え。 

特徴① 配送時間30分を実現する店舗体制

この店の最大の特徴が、ECに対応したリアル店舗の運営体制。一見すると普通のスーパーのようだが、このような赤いパーカーを着たスタッフが、手にはモバイル端末を持ってゴロゴロ店内を動き回っている。彼らはECから注文のあった商品をピッキングする専門のスタッフ。

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注文に応じて店頭から商品をピックアップし、専用バッグに収納、バッグを売場の端にあるクレーンに載せると、天井に張り巡らされたレールを伝って、バッグヤードの配送スタッフに引き渡されるという仕組み。ピッキング係が都度バックヤードまで商品を運ばなくて良いという徹底した効率化。これが配送時間30分という驚異的な時間を生み出している。

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何より、店頭から商品を抜くというのが面白い。そもそもEC在庫という概念がなく、店頭がECの倉庫を兼ねているという証拠。 

特徴② OfflineとOnlineを繋ぐ優れたアプリ

店内の至るところに盒马の自社アプリが告知されており、スタッフもダウンロードを促す。このアプリを使って注文する訳だが、ECだけでなく、店頭でも使用するように設計されている。

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アプリからスキャナーを起動して、店頭の棚札をスキャンするとECの商品ページへ遷移し、Offline to Onlineの出来上がり。

また、アプリ内で後述するAlipay(支付宝)と紐づけるようになっており、店頭での決済にも盒马アプリを使用することになる(※盒马アプリ内でAlipayを起動するイメージ)。もちろん、Alipayのアプリ本体でも決済できるはずだが、それだと小売側には買上・決済データしか残らない。盒马の自社アプリから決済させることによって、顧客データと買上データを紐づけることが可能になる。

ECとしてアプリを使用する場合は、事前にAlipayを登録しているので、決済時に都度カード情報を入力することなく、そのままワンタップで決済が可能になっている。

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ちなみに、このアプリ、店で開いた時と店の外で開いた時でUIが違っている。店外で開いた時には、スキャナーと支払い時に使うAlipayのバーコード表示機能が、メイン画面から外されているという気の配り様。

その他にも、商品棚札は全て、日本ではまだまだ少ない電子棚札が採用されている。価格変更等の情報がタイムリーに反映できる体制が整っていることも見逃せない。 

特徴③ 決済はAlipay

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アリババの傘下に入っているということで、支払い方法は”基本” Alipay(支付宝)のみ。”基本”と書いたのは、開店当初は本当にAlipayのみだったそうだが、顧客から「不便!支付宝使えない人はどうするんだ!」というような声が上がり、やむなく一部現金対応もおこなっているらしい。日本では「あるある話」でも、中国だとその辺はバッサリ切り捨てそうなイメージがするが、さすがスーパー程のマス向け業態になると、仕方なしということなのだろうか。

いずれにせよ決済をAlipayに特化させて、それをOnline・Offline関わらず自社アプリ経由で支払いさせることによって、全ての売上データに誰が買ったかという顧客情報が紐づき、Online・Offline関係なく一元化された状態を生み出している。

 特徴④ 充実した海鮮

MD(商品)面では、盒马鮮生は海鮮が非常に充実している。店舗には大きな生け簀があり、魚や貝やエビや様々な海鮮が取り揃えられている。子供でなくても、見ているだけで楽しい。

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そして、店舗には、購入した魚介類をその場で調理してくれるサービスも用意されている。加工賃は15元(約250円)程度なので、レストランで食べるよりも断然安い。

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視察に行ったのは16時前後の中途半端な時間であったが、それでも多くの人が店内で飲食していた。 ECを強みにした店であるが、新鮮な魚介類をその場で食べるという店頭の楽しさもこだわっているところが、OfflineとOnlineの顧客循環を生み出す一つの要因になっているのだろう。

 

本当に30分で届くのか?

オムニチャネルの要、顧客体験の要となるリアル店舗を視察したのち、実際、ECで注文してみた。注文したのは日曜日の17時。

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自宅から最寄り店舗までは3km以内のはずだが、17時の注文時点で選択可能な配達時間は18時45分から…。まぁ、これが中国の現実か?

とは言え、それでも実際2時間程度で届いたので、他社よりも十分早いとは思う。そして、送料も無料。他にも、もっと安い2〜3元(50円以内)の商品でも試してみたが、いずれも送料は無料だった。恐ろしい…。

中国メディアに寄ると、現状、Onlineからの注文が7割を占めているらしい(7割がそのままECということではないと思うが)。ますます勢いを増す盒马鮮生の動きにこれからも注目したい。

中国で広がる無人店舗の波

無人コンビニ BINGO BOX

先月、上海に無人のコンビニが登場した。日本のメディアでも紹介されたので、知っている人もいるだろう。名前は「BINGO BOX」、中国表記は「缤果盒子」。当て字の缤果(Bīnguǒ)に、盒子(Hézi)=小型の箱の意味 を合わせた模様。

中山市賓哥網絡科技というベンチャーが開発し、フランス系スーパー「欧尚(オーシャン)」と台湾系スーパー 「大潤発」の合弁会社が運営をサポートしているらしい。今回上海にOPENしたのは、その欧尚と大潤発の敷地を使った2店舗。

まずは、このオフィシャルサイトにある動画を見てもらうとイメージしやすい。

 

中国式 Amazon Go

OPEN早々の6月24日にスーパー欧尚の店を見に行ってみた。12号線の宁国路駅から徒歩5分、欧尚の駐車場にポツッと置かれている。

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コンビニというよりは、KIOSKのイメージ。

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入口は鍵がかかっており、入店するにはID登録が必要。

まずは扉横のQRコードを読み取り、WeChatの公式アカウントをフォロー。返されたメッセージからフォームに飛んで、携帯番号とパスワードを登録して初めて扉が開く仕組み。Amazon Goは専用アプリを使って入店するが、中国では日本同様にアプリインストールのハードルは低くないので、WeChatとこちらで一般的な携帯番号を組み合わせた個人認証方法が採用されている。

 ※ちなみに、中国では公衆WiFiなどを利用する時、携帯番号を入力して、SMSで返されたパスワードを登録するケースが多い。ほとんどの場合、中国の電話番号にしか対応していないので、日本からのマーケターが視察に来たとしても、日本の携帯では入店すら出来ないのでご注意を。

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店舗内の様子。SKUは500ほどらしいので、飲料、菓子、生活雑貨など取り扱いアイテムは限られている。

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Amazon Goでは、画像解析や音声・センサー等を組み合わせて顧客行動を解析しているようだが、BINGO BOXでは全商品にRFIDが貼り付けられている。1元(約16円)のチョコレートとかにも貼付されている。

RFIDと言えば、数十年前からあるテクノロジー。過去、自分も10年以上前に業界のSCM(Supply Chain Management)効率化を目的とした会合に参加したことがあるが、10年以上経った今も一向に広がっていない。未だに一部のアパレルが独自に活用しているレベルに留まっている。普及しない最大の理由がRFIDの価格。

調べてみたら、未だに1枚10円以上はしているみたい(もちろんロットに寄るけど)。中国だからRFIDが劇的に安いということないだろうし(そもそも中国の物価が安いというのは既に幻想)、それを1点1点商品に貼る手間を考えると、1〜2元の商品にも貼るってなかなか理解し辛い。

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Amazon Goでは会計は不要。店から商品を持って出るだけで清算されるが、このBINGO BOXは、レジ会計が必要。但し、レジと言っても無人なので、セルフ会計。会計台に商品を置くと、自動でRFIDの情報を読みとって商品が特定されるので、横のディスプレイに表示されたQRコードを読みとって支払いをおこなう。決済方法はAlipayかWeChatかアプリの3 択。中国ではもはや当たり前だが、現金もクレジットカードも使えない。支払いが完了すると、RFIDのステータスが「支払済」に書き換えられるので、商品の持ち出しが可能になる。

※オリジナルのアプリもあるとのことだが、中国のアプリストアでも発見できず。

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入店後、扉の鍵はすぐに閉まるが、購入済の商品を持っていれば、出口付近のセンサーが「支払済」になったRFIDの情報を読み取って自動的に鍵が開く。未会計の商品があれば、当然鍵は開かない。何も買わなかった場合は扉横のQRコードを読み取ると鍵が開く。

誰かに付いて無理やり商品を持ち出すことは可能だが、未会計の商品を持ち出ししようとすると警告音が鳴る。当たり前だが店内には防犯カメラも付いているので、個人が特定されやすい中国・上海でわざわざそのようなリスクを取る人は少ないのかも?

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無人店舗は広がるのか?

正直、洗練されたAmazon Goの顧客体験(もちろん味わったことはないが)とは雲泥の差があるし、劇的な顧客満足があるかと言われると、そんなことはない。QRコードをスキャンしたり、返って面倒臭いと感じる顧客も少なくないと思う。でも、「商品の実物を触れる大きな自動販売機」と考えると、意外に違和感ないのかも?と感じた。

また同じ小売業に携わる人間から見た時、当たるか外れるか分からないし、未完成ながらも、こういった取り組みにスピード感持ってチャレンジする姿勢は素直に尊敬する。中国人・中国企業のこの姿勢は大いに見習う必要がある。

運営会社曰く、15平米の無人コンビニと40平米の従来コンビニを比べると、建設コストは1/4にとどまるうえ、高騰している人件費は不要、家賃は下がるため、運営コストは15%以下にとどまるとのこと。今後の展開に期待したい。

…と言いつつ、上海の高温に対応できなかったのか、自分が見に行った店舗はいきなり休業したとのこと(笑)

 

中国には「BINGO BOX」以外にも既にいくつかの無人店舗が登場しているので、今後視察してみたい。

◆F5未来商店

広州の佛山で試験運営をしていた模様。アメリカに登場した「eatsa(イーツァ)」みたいな感じか?無人とは言いつつ、バックヤードにはスタッフがいる接客がないだけの店舗。

F5未来商店

◆小e微店

いまいちよく分からないが、オフィスビル向けのセルフ会計店舗か?

小e微店—上班族贴心服务站

◆便利蜂

便利蜂

◆TAOCAFE淘宝会员店

杭州に遂にアリババが仕掛る無人スーパーまで登場。

※これは展示会での期間限定店舗。

さすが、中国。すごいスピード感。

はじめに

思いがけない異動

忘れもしない。

2016年11月21日、社長室に呼ばれて「上海に行ってくれ」と受けた辞令。

青天の霹靂とはまさにこのこと。

超ドメスティックな会社に勤めて19年、まさか自分が海外転勤になるとは。

それから3ヶ月の引き継ぎ&準備期間を経て2017年3月から上海に着任。早くも4ヶ月が経過した。

本当は家族で来たかったが、子供が小さく、空気の汚れた中国ではとても育てられないという妻の不安があり、家族は日本に残して一人でやってきた。

こちらに来て様々な環境変化があったけど、一番の違いは、圧倒的に自分の時間があるということ。日本では深夜に帰宅するのが日課になっていたが、仕事内容が変わったこともあって、今では普通に19時には家に帰って来れる。中国語の学校以外は特に予定もなく、休日の家族サービスも必要ない。全てが自分の時間。まさにフリーダム。

今までは「自分は忙しいから仕方ないよね」と忙しいことを言い訳にして、会社の仕事しかしてこなかった。そんな仕事人間の自分に、おもいっきり時間の余裕ができてしまった。じゃあ、異国の地で一人何をする?

 

1/100の存在 

以前、恩師であるコミュニケーション・ディレクター 佐藤尚之(通称さとなお)さんから言われたことがある。

「君には仕事以外で、趣味でも何でも良いから、好きなものはないの?」

普通の人なら、ゴルフが好き、ゲームが好き、暇さえあれば映画見に行くとか、人それぞれ色んな好きなことがあるだろう。実際、自分のまわりの友人たちも、トライアスロンやってます、落語が好き、トレランやってます、車大好き、ラーメン大好き、毎日色んな店のカレー食べてます、和菓子なら任せろ、等々、多彩な趣味・嗜好の人が多い。

普通の人ならある趣味、ただ、自分にはそれがない…。

学生時代はサッカーやバレーボールをやっていたが、それが大好きというほどではない。「日本代表の試合は欠かさず見る」とか、そんなことはまぁない。スキーやスノーボード、ゴルフ、流行や年齢に応じた機会でそれなりに色んなものは経験してきたし、映画や音楽もそれなりには見るし聞く、でも、決して一つの事にどっぷりのめり込むことはなかった。

唯一、自分が昔から継続して興味・関心を持ち続けているのは「ファッション」だけど、それとて、◯◯デザイナーが大好きとか、このブランドのこだわりは◯◯でとか、今年のトレンドは◯◯とか、人様に語れるようなものではないし、限定品が発売されたら並んでも買うとか、そんなモチベーションも持ち合わせていない。単にこんなコーディネート・アイテムがカッコ良い、オシャレと考えるのが好きなだけ。

前述のさとなおさんが、何度か言ってたことがある。それは、「100分の1を作れ」ということ。

佐藤:たとえば僕は、広告業界で「1万人に1人」という位置には入っていないと思いますが、「100人に1人」という位置にはつけていると思っていて。同じく、「食に詳しい人(食の本を数冊出している)」「ネット体験に詳しい人(個人サイトを20年やっている)」というくくりでは、「100人に1人」のレベルに入っていると自負しています。この属性を並べて「広告がつくれて、食に詳しくて、インターネットに詳しい人」とすると、単純計算で1/100×1/100×1/100=「100万人に1人」という割合になり、一気にレアな存在になるんです。

目的仲間が自分と社会を豊かにする ー さとなおさんが育てる「4thコミュニティ」 | WORK MILL

 

プロスポーツ選手のように、その分野で1万人や100万人に1人の存在になるまで極めるのは相当難しいけど、100人に1人の存在なら頑張ればできるよねと。その1/100の存在を複数持っていたら、それを掛け合わせることによって希少な存在になれるよねということ。

考えてみたら、芸人が作家やってみたり、絵本を出したり、◯◯芸人とか言ってるのも、芸人 × ◯◯ と別の要素を掛け合わせることによって自分を差別化して、独自のポジションを築いているのだろうし、昔からよくある俳優が料理番組を持ったり、◯◯インストラクターをやるというのも同じ発想だろう。

小売業に就職して約20年が経つ。仮に「日本の小売」については1/100の存在になれていたとしても、他に掛け合わせ出来る1/100はある?

 

1/100を目指して

40才を過ぎて初めての海外生活。自分の時間はたっぷりある。新たな1/100を作るには絶好の機会。

上海に来て4ヶ月、本来なら日々色んなことが新鮮なはずなのに、思ったほどインプットが少ない。もしインプットが足りていないなら、強制的なアウトプットをすれば良い。そうすれば、おのずとインプットも増える。これ鉄則。昔、セミナーでTRANSITの中村さんも言ってた。「アウトプット力を高めることがマーケティング力を高める」と。じゃあ、何をアウトプットするの?

中国は日本とは比べ物にならない世界一のモバイル先進国。スマホさえあれば本当何でも出来る。財布も要らない。中国はパソコンが普及しないままスマホの時代が来たので、生まれながらにモバイルファースト。そして、スピード感・実行力も素晴らしい。日本のように机上の空論を重ねるようなこともない。とりあえず、やってみる文化。

幸い自分は日本にいる間、数年間、デジマ(デジタルマーケティング)に携っていた。社内ではデジタルの人と思われている。まわりには日本のマーケティング界隈のトッププレイヤーたちもいる。この中国でこの分野を追っていくことによって、もしかしたら、自分に新たな1/100が出来るかもしれない。そんな自分への期待を胸にブログを開設してみた。

開設してみたものの殆ど更新できなければ、今までの自分と同じということw