ONE HUNDREDTH

中国、小売、マーケティング、ファッションなどなど

はじめに

思いがけない異動

忘れもしない。

2016年11月21日、社長室に呼ばれて「上海に行ってくれ」と受けた辞令。

青天の霹靂とはまさにこのこと。

超ドメスティックな会社に勤めて19年、まさか自分が海外転勤になるとは。

それから3ヶ月の引き継ぎ&準備期間を経て2017年3月から上海に着任。早くも4ヶ月が経過した。

本当は家族で来たかったが、子供が小さく、空気の汚れた中国ではとても育てられないという妻の不安があり、家族は日本に残して一人でやってきた。

こちらに来て様々な環境変化があったけど、一番の違いは、圧倒的に自分の時間があるということ。日本では深夜に帰宅するのが日課になっていたが、仕事内容が変わったこともあって、今では普通に19時には家に帰って来れる。中国語の学校以外は特に予定もなく、休日の家族サービスも必要ない。全てが自分の時間。まさにフリーダム。

今までは「自分は忙しいから仕方ないよね」と忙しいことを言い訳にして、会社の仕事しかしてこなかった。そんな仕事人間の自分に、おもいっきり時間の余裕ができてしまった。じゃあ、異国の地で一人何をする?

 

1/100の存在 

以前、恩師であるコミュニケーション・ディレクター 佐藤尚之(通称さとなお)さんから言われたことがある。

「君には仕事以外で、趣味でも何でも良いから、好きなものはないの?」

普通の人なら、ゴルフが好き、ゲームが好き、暇さえあれば映画見に行くとか、人それぞれ色んな好きなことがあるだろう。実際、自分のまわりの友人たちも、トライアスロンやってます、落語が好き、トレランやってます、車大好き、ラーメン大好き、毎日色んな店のカレー食べてます、和菓子なら任せろ、等々、多彩な趣味・嗜好の人が多い。

普通の人ならある趣味、ただ、自分にはそれがない…。

学生時代はサッカーやバレーボールをやっていたが、それが大好きというほどではない。「日本代表の試合は欠かさず見る」とか、そんなことはまぁない。スキーやスノーボード、ゴルフ、流行や年齢に応じた機会でそれなりに色んなものは経験してきたし、映画や音楽もそれなりには見るし聞く、でも、決して一つの事にどっぷりのめり込むことはなかった。

唯一、自分が昔から継続して興味・関心を持ち続けているのは「ファッション」だけど、それとて、◯◯デザイナーが大好きとか、このブランドのこだわりは◯◯でとか、今年のトレンドは◯◯とか、人様に語れるようなものではないし、限定品が発売されたら並んでも買うとか、そんなモチベーションも持ち合わせていない。単にこんなコーディネート・アイテムがカッコ良い、オシャレと考えるのが好きなだけ。

前述のさとなおさんが、何度か言ってたことがある。それは、「100分の1を作れ」ということ。

佐藤:たとえば僕は、広告業界で「1万人に1人」という位置には入っていないと思いますが、「100人に1人」という位置にはつけていると思っていて。同じく、「食に詳しい人(食の本を数冊出している)」「ネット体験に詳しい人(個人サイトを20年やっている)」というくくりでは、「100人に1人」のレベルに入っていると自負しています。この属性を並べて「広告がつくれて、食に詳しくて、インターネットに詳しい人」とすると、単純計算で1/100×1/100×1/100=「100万人に1人」という割合になり、一気にレアな存在になるんです。

目的仲間が自分と社会を豊かにする ー さとなおさんが育てる「4thコミュニティ」 | WORK MILL

 

プロスポーツ選手のように、その分野で1万人や100万人に1人の存在になるまで極めるのは相当難しいけど、100人に1人の存在なら頑張ればできるよねと。その1/100の存在を複数持っていたら、それを掛け合わせることによって希少な存在になれるよねということ。

考えてみたら、芸人が作家やってみたり、絵本を出したり、◯◯芸人とか言ってるのも、芸人 × ◯◯ と別の要素を掛け合わせることによって自分を差別化して、独自のポジションを築いているのだろうし、昔からよくある俳優が料理番組を持ったり、◯◯インストラクターをやるというのも同じ発想だろう。

小売業に就職して約20年が経つ。仮に「日本の小売」については1/100の存在になれていたとしても、他に掛け合わせ出来る1/100はある?

 

1/100を目指して

40才を過ぎて初めての海外生活。自分の時間はたっぷりある。新たな1/100を作るには絶好の機会。

上海に来て4ヶ月、本来なら日々色んなことが新鮮なはずなのに、思ったほどインプットが少ない。もしインプットが足りていないなら、強制的なアウトプットをすれば良い。そうすれば、おのずとインプットも増える。これ鉄則。昔、セミナーでTRANSITの中村さんも言ってた。「アウトプット力を高めることがマーケティング力を高める」と。じゃあ、何をアウトプットするの?

中国は日本とは比べ物にならない世界一のモバイル先進国。スマホさえあれば本当何でも出来る。財布も要らない。中国はパソコンが普及しないままスマホの時代が来たので、生まれながらにモバイルファースト。そして、スピード感・実行力も素晴らしい。日本のように机上の空論を重ねるようなこともない。とりあえず、やってみる文化。

幸い自分は日本にいる間、数年間、デジマ(デジタルマーケティング)に携っていた。社内ではデジタルの人と思われている。まわりには日本のマーケティング界隈のトッププレイヤーたちもいる。この中国でこの分野を追っていくことによって、もしかしたら、自分に新たな1/100が出来るかもしれない。そんな自分への期待を胸にブログを開設してみた。

開設してみたものの殆ど更新できなければ、今までの自分と同じということw